
葉酸は人間であれば不足しては困る栄養素なのですが、誰に一番必要かというと強いて言えば「妊婦さん」でしょう。妊婦さんは胎児をおなかの中で育て、出産するという大事なミッションを担っています。
10ヶ月と10日もの間、お母さんのお腹の中で栄養分を吸収しながら、また大切な伝達物質をコピーしてもらいながら、赤ちゃんはゆっくりと成長していきます。その中で一番大切なものが、生き物の細胞にある核酸、この核酸の成分のひとつとして有名なDNA(遺伝物質)があります。
DNAは母親から子供へ代々コピーをされ伝達されていきます。葉酸はそのDNAが作られるときに働きを助ける酵素で、細胞分裂には不可欠な栄養素です。要するに葉酸不足は細胞分裂のときにDNAのミスコピーを発生させてしまう危険性があるのです。ミスコピーとは情報が正しくコピーが行われないとか、さまざまな本来出るはずのない障害、具体的に胎児であれば無脳症や神経管閉鎖障害の発症率が高くなるということです。
それらの不幸な出来事を防ぐ為にも葉酸はだいたい妊娠初期の1ヶ月目から栄養素が不足しないように摂るのが推奨されています。
2000年からは母子健康手帳にも胎児奇形の発生予防のための葉酸の必要性(1日に400ミリグラム)が記されるようになりましたが、妊婦に限らず正常な成人日本での葉酸摂取率は海外に比べるとまだまだ低いのが現状です。欧米ではパンやスナックにも葉酸が練りこまれている食品が売られているそうです。それだけ「葉酸」という栄養素が人々の意識に定着していると言えるでしょう。